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 ダンサー

2003年11月 取材

久原 和歌子さん

 


★ 久原 和歌子さんが 1989年に日本を出た目的は、「自分がどの程度のダンサーなのかを見極める為だった」とか。海外で通用しない程度なら、ダンスが職業として成り立っていない日本でダンスを続けていくつもりは無かった。彼女から笹本先生に海外留学のお話をさせて頂こうと予定していたその日、先生の方からオーストラリアンバレエスクールへの留学を薦めて下さった時は、和歌子さんの方が驚いてしまったとのことです。

★「オーストラリアンバレエスクールでの初日、全員が私より4つ年下の生徒達を前に愕然とした。小さい頭に長い手足、アンデオールと柔軟性・・・私が今まで何とか頑張って目指して来たもの、ごまかしてきたものを完璧に備えた美しいダンサー達がずらっと並んでいた。バレエは西洋文化から生まれたものであるという当たり前のことをわかっていたようでわかっていなかった。私はこのスクールで初めての日本人留学生。来なければ良かったのかと一瞬思ったが、帰る気は全く無い。とにかく1年だけ頑張ってみよう。決心は固かった」とおっしゃる。

★ 1年いる間に、オーストラリアでは、世界でも珍しいプロのダンサーが「完全給料制」になっている事実を知り、「本当にお給料が出て、それで食べていけるのか?!」と、クラスメイトに驚かれる程、彼らにとっては当たり前のことに和歌子さんはひどく興奮されたそうです。
ダンサーが社会に認められた職業であることがものすごく嬉しかったとか。
「チャンスがあるのなら、もう日本へ戻る必要はない」と思った和歌子さん、日本の大学を休学してバレエスクール全3年制の2年生に留学していたが、大学へは退学届を出し、バレエスクールの卒業・カンパニーへの入団を目標にされました。

★ 「スクールで初めて触れるコンテンポラリーの授業の中で、シドニーダンスカンパニーのアーティスティックディレクターであり振付家のグレアム・マーフィーの作品と出会った時、私は自分を縛っていた何かかほどけていくように感じた。それまで自分を受け入れてはいてもクラシックバレエの理想に苦しんでいた私は、自分が自分であることに壁のないコンテンポラリーダンス(現代舞踊)を知って、感動した。私はグレアムの作品の練習に没頭した。一つ一つのステップを掘り下げることの楽しさ、自分の踊りはここにあったのかと、体が喜んでいるのがわかった」と、彼女の溢れる気持ちは続きます。


★ 3年生の時、和歌子さんを含むクラスのほとんど全員が、シドニーダンスカンパニーのオーディションを兼ねたクラスレッスンを受けられ、グレアムに呼ばれたのはなんと和歌子さん一人。その後シドニーカンパニーからエキストラで公演に使いたいとの要請の時にも4人の内の一人に選ばれ一ヶ月のリハーサルと公演の後、4人の踊りを見にきていたグレアムが和歌子さんだけを呼んで「カンパニーに入って欲しい」と言われたそうです!!

★「その時の喜びは一生忘れられない」とおっしゃっています。 日本で待った10ヶ月、やっと降りたワーキングビザを手に、シドニーへ飛んで早や、在カンパニー13年目を迎えられます。
「自分と理想とのギャップで苦しむバレエから自分を掘り下げるダンスへの移行は、そのまま私はどう生きたいのかを問うことと同じ厚みで私を生き生きと悩ませた。こういった事はもちろんバレエの世界でも同じはずなのだが、私の心を開かせてくれたのはコンテンポラリーだった」と。グレアムが打てば響くダンサーは、ほとんどが在カンパニー6年以上、平均年齢は31歳。

★「私は12年間でグレアムの15作品、ゲストコレオグラファーの5作品に出演した。毎年発表する<グレアムの新作振付>のプロセスの楽しさは格別だが、ゲストコレオグラファーとの緊張感あるプロセスもまた楽しい。またカンパニーが主催のコレオグラフィーワークショップは今までに4回。そのうち2回で自作自演を含め作品を発表させてもらえた。この11月にはカンパニー主催で、私を含むカンパニーのダンサー4人で新作振付公演を行う。ステージセット、衣装、証明、全てを自分たちで演出できる。こんな恵まれた環境で振付家としてキャリアの少ない私達が新作発表できるというのは、本当にラッキー」とおっしゃる。
インタビューしていつも思う事は、現在楽しく仕事をされてる人、されてきた方は必ず「わたしはラッキー!」とおっしゃいますね〜

★ 公演数は年平均120回。海外ツアーは今までに15カ国で公演されたとか。
「海外で踊ることはすごいことではない。ただ、ダンサーとして生きていける場所にいることが私にとって最高の幸せ!」と、そして、「ダンサーとしてもっと自分の体を知ること、振付家として自分の思いを育てることが、楽しみであり、喜び!」と、<本当の自分を知った歓び>の和歌子さんでした♪

シドニーカンパニーのHPはwww.sydneydance.com.au です。

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